ハイコーフェス9
ハイコーフェス総合案内
ハイコーフェスのメインビジュアル/フライヤー

お待ちかね「ハイコーフェス9」のフライヤーです!

「思わず手にとってしまう」「異様な読み応え」「終わっても捨てられないよー!」

と、毎年巷で評判のフライヤーは、

どんなに忙しく濁流のような生活に飲まれていても、

頑なに「ハイコーフェスへの偏った愛情」は貫き続けてくれるバカヤローでおなじみ、

ハイコーフェスの立ち上げメンバーにしてハイコーフェスの生徒会長、澁谷くんがデザインしています。

 

 こちらのフライヤーは秋田県内外の様々な場所、お店などに置かせていただく予定です!

絶賛裏面作成中につき、出来上がり次第で新たに情報を更新しますね!

 

見かけた際はぜひ、隅から隅までなめるようにご覧いただければ幸いです!

ハイコーフェス9のデザインへの想い

一年前の2017年「ハイコーフェス8」開校の時、

目標だった入学者数(チケット予約者数)に至らなかったら、

自分はハイコーフェスの一切全てのデザインをもう辞めると

ハッキリ宣言して迎えた去年のハイコーフェス。

結果、入学者数は見事に目標の人数に達することはなく、

あれから一年、もう自分の中では

ハイコーフェスのデザインをするなんて気持ちは

これっぽっちもなくなっていたし、もう燃え尽きた気持ちでいました。

もう次の世代のお洒落な新しいデザイナーが

一気にハイコーフェスの世界観をひっくり返してくれれば

イイとさえ思っていたのも事実です。

犠牲まみれで、馬鹿過ぎて、無謀過ぎる、ハイコーフェスの制作現場のあの感じは

普段 “仕事”として向き合っているデザインの現場では

ほぼ感じることの出来ない、独特な、麻薬みたいな、得体の知れない不思議なもので、

それは勿論、技術とかテクニックとかそういうくだらないモノを全て飛び越えた先にある、

自分にとってたくさんのことを学ばせてもらった大切な場所・領域だったのですが。

そんな場所の天辺・頂点みたいなところに、去年はいよいよ足を踏み入れてしまったと

自分としては深く感じていて、もしかしたら悔いがないという表現は正しくないかもしれないけど、

もう振り切るところまで振り切ったんだろうな〜とそう自分では感じて目を閉じていました。

 

 

そうこうして、あっという間に一年が経って、

今年の春も実行委員長である進藤くんから

いつものように、うちの事務所にあつまって「ハイコーフェス」のことを

話す時間がほしいとの連絡がありました。

それは、例年のような「ハイコーフェスをやるよ!」という始まりの連絡ではなく、

今年は「ハイコーフェス、どうしよう?」という、相談の連絡でした。

正直、奥羽本線の飯詰駅の待合室で、近江くんが来るのを待ちながら話していた

あの時の進藤くんは、今まで見たことのないような小さくて、細い、希望も何も失った

頼りない進藤くんに成り下がって見えて……、今だから言えるけど、

「こんな進藤くんなんて見たくない。またデザインで力になれるなら……」と

あの飯詰駅で、すっかり簡単にもまた、デザインをする気になっていた自分が居て。

自分で、自分のそんな考え方の軽さ・調子の良さに、こっそり笑ってしまいもして。

でも、その裏返しで「ああ、やっぱり、ハイコーフェスのデザインは自分で責任とらなきゃ」って

はっきりとやっと自覚して、進藤くん、近江くんの二人が頼ってくれるのであれば、

もう一度、ハイコーフェスのデザインを、一回転半した先に、丸裸になって頑張ろうと思い

「今回もハイコーフェスのデザイン、俺がしていいのかな?」とものすごい勇気を出して、

そして、ものすごいくだらない腐ったプライドみたいなものを捨てて進藤くんに聞きました。

それに対して即答「もちろん、澁谷くんだよ」との進藤くんの一言で、

動き出した今年の「ハイコーフェス9〜卒業〜」のデザインが、

この本当の自分たちの生をそのまま詰め込んだ、ハートまみれのアートワークとなりました。

 

 

今回、ここに至るまでの過程は、あまりにいろんな気持ちや時間をみんなで乗り越えていて、

ここに文字で書けば書くほどに馬鹿馬鹿しく、薄っぺらくなってしまう恐れもあるのですが。

もう、正直、これ以上、ハイコーフェスのことを想ってデザインに向き合うことは

いよいよ一生ないだろうと思ってしまうほど、今回は「人の気持ち」や、目では見えない「人の想い」

というものを、大事に大事にして、辿り着いたデザインがここでした。

そして、そこには、去年のハイコーフェスのメインビジュアルをデザインした際から

もうハイコーデザイナーとしての僕の身体と気持ちの一部みたいになり始めていた

ロックギタリスト「はなえもん(キャンディキャンディ)」の存在が絶対に、絶対に色濃く在りました。

もう彼女がいなかったら、今回のハイコーフェス9のメインビジュアルは完成しなかった、

これは120%そうだったと、僕が言い切れます。というか、言い切ります。

 

今回、最初にはなえもんが手描きで何度も何度も悩んでは消しゴムで消して描いて

僕らに届けてくれた鉛筆画を、初めて見た時に「なんか、違う……」と僕は

はなえもんに対して一度は正直にその絵を否定してしまったことに、今回のデザインは始まりました。

つまりは、一度、はなえもんというハイコーフェスには無くてはならないギタリストであり、

一生懸命この絵を描いてくれたそんな人を傷つけることから、今回のデザインは始まりました。

その後、進藤くんが何度はなえもんに電話やメールをしても、もう何の返事も返って来ないという日々が続き、

その時間があまりに苦しくて、苦しくて、他の仕事をするためにもパソコンを見れない時間がありました。

あの日の夜、進藤くんと僕は電話で、何度も何度も「やってしまった。やってしまった」と頭を抱えて

「どうしよう。どうしよう」と情けない声で、夜中に静かに話し合ったことを覚えています。

 

そして、そんな自分でしてしまったことで、苦しんで、悩んだ時間があって、

ふと、もうどうしようもなくなって、

改めて進藤くんと今回はなえもんが送ってくれた一枚の絵を見返したんです。

そしたら、自分たちが自分たちの気持ちの変わりように驚いてしまったのですが、

もう既に、少なくとも進藤くんと僕の間では、この一度否定してしまった絵のことが忘れられなくなっていて、

愛おしくなっていて、もう好きになっていました。

 

この頼りない線も、切り貼りしてぐちゃぐちゃになった痕跡も、消しゴムでこすれた汚い塗り残りも

その一つひとつのはなえもんの不完全さが、どうしようもなく抱きしめたくなって、愛おしくなって、

そうだ、この不完全で未完成なはなえもんの絵を、ハイコーフェスのみんなで完成させたらいいんだと、

なんで全て気に入らない気持ちをはなえもんの絵のせいにしていたんだと、一気に気持ちは明るく転がり始めて

そう思えたら、どんどんどんどんデザイン(絵)のイメージ・アイデアが溢れ出てきて。

というか、はなえもんの絵そのものに、僕らハイコーフェスのみんながなって(変身して)しまえばいいんじゃないかと。

この恥ずかしいほどのハートまみれの絵の世界そのままを、

今の自分たちそのままで、恥ずかしげもなく再現してしまえばいいんじゃないかと。

そのことを、進藤くん経由で、はなえもんに全部まるっとそのまま伝えてもらったのです。

それに対して、はなえもんは、こう言ってくれたんです。

 

 

「進藤さん、メールどうもありがとう! 今回のことは奇跡としか想えないよ、

 私はあの絵を描くにいたったのは、そう、本当にそうだったから!

 ビックリするくらいその通りだよ!!!!!!! 澁谷さんにも、ありったけの感謝を伝えてください!

 そして、その素晴らしいアイディア、ぜひ実現させてね!

 (中略)

 たくさんハートマークを描いたのは沢山の愛する人たちの力を沢山かりてやっと出来上がるハイコーフェス、です!

 のんびりも、日常も、激情も、ロックンロールも、恋も、ごはんも、お風呂も、虫も、動物も、奇跡も、

 男の子も女の子も、生活も、家族も、1人ぼっちも、全部リスペクとして!

 何だかわかりにくいかもしれないけれど、こうゆうこと…今描き終わったところで、キャメルさんの歌、聴いて、寝ます!

 本当に奇跡みたいな一日 初めてみたこんな世界! 愛ありがとう! 1ミリも残さずに受け取るわね! はなえより」

 

 

僕は、もうこのメールをはなえもんからもらえただけで

今年のハイコーフェスのデザインは、もう出来上がったと確かに思いました。

そして、進藤くんと沢山喜び合えました。

こんなこと、今までのハイコーフェスにはなかったから、とにかく嬉しかったんです。

ハイコーフェスに未だに関わってくれているみんなは本当にやさしい人ばかりで、

人のことを基本否定したりしないし、嫌がるようなことはしないし、だから喧嘩なんてすることはほぼないし、

だからこそ、本音のところでは、言いたいことをきちんと言えないような仲になっていたのかもしれなくて、

それが、今回小さくもだけど、自分たちハイコーフェスが成長できたところだと思って。

さあ、そうなったら、いよいよ、本当に卒業なんだなと。

もうこれ以上のデザインはどうしても、これから先考えられないや(笑)って、気持ちよく思えました。

そう、もう僕の今年最後のハイコーフェスは、まだ始まってもいやしないのに、僕の思い出になってしまっています。

 

 

ということで、やっとこうして出来上がった「ハイコーフェス9〜卒業〜」のメインビジュアル。

38歳にもなって、嫁もいて、アラフォーまっしぐらのオッサンデザイナーは、

はなえもんに感謝のラブレターもしっかり書いて、いよいよ、ハイコーフェスのデザインを卒業します。

そして、ハイコーフェスのことなんてクソみたいに忘れてやって、

また、ずっと、ずっと、まだ見えないずっと向こうのデザインに会いたいなと、今は思っています。

「ハイコーフェス9〜卒業〜」、あの奇跡の場所で皆さんに会えることを祈っています。

長文・乱文失礼しました。

 

 

ハイコーフェス副実行委員長

澁谷和之(澁谷デザイン事務所)

 

 進藤君から一言

 

マスター、忙しい中、クソ長い愛のメールありがとう。」

「嬉しいなあ、嬉しいなあ。ハイコーフェスは、もう俺等の中で始まってるね。すごい嬉しいなあ。」

「あー、いきなり熱くなって頭がパンクしそうだ!」

淋しくなって、悲しくなって、もう360度ひっくり返って、

どうでも良くなって、楽しかった、もう思い出が一つできました。」

 

 

皆さんご存知のとおり、毎年ハイコーフェスのメインビジュアルは澁谷くんが担当してくれています。

全幅の信頼を寄せて、これが澁谷くんの「ボクのハイコーフェス」なので、

そこはずっと澁谷くんだけの絶対領域として去年までやっていました。

でも去年初めてボクと近江さんがいろいろと注文つけたりして、初めてみんなで作り上げました。

もちろん1番頑張ったのは澁谷くんだし、ボクらは思いつきを口出ししただけだけど、

みんなで作り上げた事を澁谷くんは本当に喜んでくれて、

出演者のはなえもんが描いてくれたイラストを軸に素晴らしい物語が完成しました。

ただアイディアが良いとかセンスが良いとかデザインが良いとかのフライヤーじゃなくて、

そこにはハイコーフェスの1つの物語が見えてる気がしました。

 

そんな去年の想い出を踏まえた上で、今年もハイコーフェスのデザインが始まりました。

キャンディキャンディとして今年もはなえもんの出演も決まり、

今年もはなえもんにメインロゴのイラストをお願いしました。

はなえもんのハイコーフェスへの想いは目を閉じてても伝わるくらいに本当に熱く強い愛なので、

ボクらは今年もはなえもんに全てを託しました。

はなえもんのイラストを中心に全体のイメージを膨らませようと考えました。

ところがどうでしょう、

はなえもんから送られてイラストが、そっくりそのまま今年のメインビジュアルです。

イラストをデータ化してキレイに加工もせず、消しゴムの跡さえも修正しない、

鉛筆書きのイラストをそのまま貼り付けただけの出来上がりで、

挙げ句の果てにそのイラストを今年もお手伝いしてくれると宣言してくれたハイコースタッフで実写化再現しておしまいです。

澁谷くんと言う優秀なデザイナーを立てておきながら、この出来上がりは何なんでしょう?

これじゃあデザインも何もあったものじゃない、全くツギハギだからけの不完全な出来上がりで、

「ちゃんと考えて作ったの?」なんて疑問視されちゃいそうな気もします。

 

でもボクは今年澁谷くんから提案してくれたこのアイディアにすぐにオッケーを出しました。

出来上がりの完成版も一目見ただけですぐにオッケーを出しました。

去年はあれだけ口出しして「良いモノ」を作っていた気になっていたけど、

今年澁谷くんが創り上げてくれたこのデザインには全く口出しする隙間がない気がしました。

澁谷くんがここに包み隠さず書いてくれたとおりです、

4月から今日までの時間でボクらの想いは1つになっていたからです。

 

皆さんはどんな風に見えていますか?

なんとなくだけど如何にも「秋田ハイコーフェス」って感じじゃないですか?

なんとなくだけど「当たり前」すぎるような感じがしませんか?

パッと見は全然カッコ良くないかも知れないけど、

全然クリエイティブじゃ、オシャレじゃないかも知れないけど、

なんだか芋くさい、まるで不恰好かも知れないけど、ぐちゃぐちゃしているかも知れないけど、

ヤンキー度、クソ度が足りないかも知れないけど、

それこそロックじゃないかも知れないけど、

カッコ悪くて田舎臭くてでもやわらかくてやさしくて、

ハイコーフェス以外の他に大切な物をちゃんと大切にしている、

ハイコーフェスを続けることに後ろめたさを感じるからこそ大切な人に感謝している、

どんなロックンロールに憧れてもロックンロールになり切れないありのままのボクと君とみんながそこにいて、

当たり前みたいに見飽きた光景としてあの奇跡みたいな場所がそこにはあって、

当たり前じゃないたくさんのボクの想いが積み重なって混じり合ってぐちゃぐちゃになって、

最後のハイコーフェスのくせに「未完成」のまま終わりで、

ハイコーフェスの奇跡の正体って何だったんでしょう?

音楽の力でしょうか?場所の力でしょうか?


偏った愛情でしょうか?ロックのおかげでしょうか?


最後まで正解は分からず仕舞いですが、


全てに感謝するって如何にも綺麗事みたいでクソダサい台詞だけど、


このフライヤーに描かれている全部がハイコーフェスの奇跡な気がして、


ボクは今年、この最後のハイコーフェスで目一杯の愛と感謝を皆さんにお返しするつもりです、


この場所で皆さんと会えるのは最後だけど、

「思い出の潟分校」の代わりに「ボクが君の想い出」になってあげるつもりです。


きっとはなえもんと澁谷くんがこのフライヤーを手に取ってくれた人に届けたいハイコーフェスの世界って、


きっとそんな世界だったんなんじゃないかなーって勝手に想ってしまって、

そんな訳で少しくらいボクも活躍したいので「ボクが君の想い出になってあげる」ってキャッチコピーを入れてもらいました。

ボクが必死に探していたハイコーフェスの奇跡はきっとこのデザインの中にあるありふれた光景です、

見慣れた見飽きたこの当たり前な光景の全てが本当は奇跡で夢みたいなものなんです。


なので正解のないデザインの世界、ハイコーフェスの世界で、

でもこのデザインの中にある全てはハイコーフェスの真実をそのまま描いてて、

最後だからこそなんて言うか、ちょっと自分でも何言ってるか分からないけど、これ以外の正解はない気がしました。

ご覧のとおり、これが君とボクのハイコーフェスなんです。

 

愛なんてただの言葉なのかも知れないけど、

ハイコーフェスのそれはきっと言葉だけじゃないんです、

それがそのまんま今年のデザインにある気がしてる、

なので今年は澁谷くんが作ってくれたこのデザインを見る前から、

もう全部組み上がってて完成していた気がします、

この未完成なデザインこそが、もしかしたら澁谷くんが目指してたデザインとしての完成形なんじゃないでしょうか?

だって依頼主のはずのボクが見る前から納得していたんです。

 

1番最初に書いた「」の中の言葉は、


この「最後のハイコーフェス」のメインビジュアルを作り上げるまでに、

ボクが本当の気持ちを伝えた時に澁谷くんから届いたメールに書かれていた言葉です。

0から何かを創り上げる事は口で言うほど簡単な事ではなくて、

いろんな想いを1つの形にする作業は苦しくて苦しくて1人ではとても背負い切れないほどの重責だったでしょうね、

それでも本当の気持ちに本気の気持ちで応えてくれるのが澁谷くんだから、

頭がパンクして「パンクロック」になった澁谷くんが創り上げたこれが、

正真正銘ボクと君のオリジナルパンクロックな気がします。

なので、どうせ製品化してしまえば軽い紙の「ペラペラのチラシ」なんだけど、

ペラペラのチラシに込められた、この重い重い想いがどうか皆さんにも届いてくれたら嬉しいです。

どうせは「たかがフライヤー」ですからね、「物語」も「ドラマ」も関係ないかも知れないけど、

もしもたった1人でも、「涙でよく見えないや」なんて言ってくれる人がいてくれるなら、

きっと澁谷くんの9年間の想いも全部燃え尽きて終われる気がします。

 

澁谷くん、9年間ハイコーフェスのデザイン、本当に本当にありがとう。

ろくにお金も払わず、たくさんたくさん働かせました、

澁谷くんが創り上げたたくさんのデザインがこの町の至るところありますが、

ボクは「ハイコーフェスの澁谷くん」が作る、ハイコーフェスののデザインが1番好きでした。

 

今年最初の会議の時にね、「マスター(ボクの事ね)のためにハイコーフェスをやってる訳じゃない!」って言葉、

「自分は自分のためにハイコーフェスをしてる!」って言葉、あの気持ちをちゃんと届けてくれてありがとうね、

おかげで目が覚めました、おかげでハイコーフェスはちゃんと最終回を迎えられました。

 

本当に本当にお疲れ様でした、そしてご卒業おめでとうございます。