ハイコーフェス9
 · 

【ボクが大好きな錯乱前戦について】

さて夏も本番に突入して皆さんサイコーの夏を楽しんでいますか?

「今は夏を楽しみたくてそれどころじゃない!」って感じでしょうが、

いよいよハイコーフェスまで2ヶ月で、少しづつ準備も進んでいます!

副実行委員長の澁谷くんが超忙しい中、フライヤー配布大作戦も始まってここから本番の8月ですね!

 

「今年もフライヤーの刷り上がりが遅くないですか?」って声もありますが、見て納得のフライヤーが完成しております!

出演者に「SUNNY CAR WASH」の名前を入れたくて入稿を待ってもらっていた事も事実ですが、

9年間ハイコーのデザインを担当してくれた澁谷くんの想いが全部詰まっています!

「なんだか、印刷入稿してしまうのが淋しくなってきた……。」、

「このままずっと修正、修正、修正で、デザイン続けていたいなあって、そんな気持ち。」って澁谷くんがメールをくれたけど、

そんな想いを全部詰め込むんだから、そりゃあ少しくらい時間が掛かっても罰は当たりませんよね。

 

多分ねー、ちょっと涙もろい人なんか見たら泣いちゃうと思いますよ、

時間が掛かった以上の「想いの重いハイコーフェス」らしい仕上がりになっていますのでぜひお楽しみにです!

連日ゴマシオにもたくさんの人が遊びに来てくれるからフライヤー片手にボクもとにかく頑張ります!

今年もフライヤーは山ほどありますので、皆さんもきっといろんな人に会う機会があるでしょうから全然ついでもなんでも良いので、

「そう言えばハイコーフェスって知ってる?」みたいな感じで、

「届くはずのなかった人」にもハイコーフェスを届けてもらえたら嬉しいです!

最後のハイコーフェスです、もう二度とご迷惑お掛けしませんので、どうかご協力よろしくお願いしますね!

 

そんな訳で白目を剥いて書いてます、出演者紹介2組目は初出演組からこちらです!

「エモい」とか「ハイブリッド」とか「シンガロング」とか、そんなのボクには分からないよ、

でもおじさんだってロックンロールになりたいし、おじさんだってパンクロックが好きなんだ!

これが1番あたらしいロックンロール!、「錯乱前戦」の登場です!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

【ボクが大好きな錯乱前戦について】

 

「バカ、バカ、バカ、バカばっか」

今年の出演者を決める会議の当日です、

偶然にもボクはその日初めて、音楽サイトで錯乱前戦の曲を耳にしました。

バカにでも分かるような極めてシンプルな歌詞、

キャッチーなメロディーをわざわざ全力で怒鳴り散らすように大きな声で歌うやさぐれたボーカルと、

ハウリングすら持ち味にしちゃうくらいの暑苦しい荒いくらいの演奏、

「わー」だの、「きゃー」だの、「ふー」だのとにかくうるさいコーラスは、

思春期にブルーハーツを聴いて育ったボクら世代には「教科書どおりのロックンロール」で、

「ロックンロールバンドを演ってます!」ってのがガツンとストレートに伝わってきて、

全然「あたらしい音楽」って訳でもないのに、初めてブルーハーツを聴いた時のような気持ちになりました。

 

「ブルーハーツを初めて聴いた時の衝動!」ってボクらおじさんは良く使う言葉ですが、

正確には初めてブルーハーツを聴いた時の気持ちなんて実はとっくに忘れてしまっていて、

でもきっと多分こんな気持ちだったんじゃないかなーと思うんです、

「なんだこのバンド!サイコーじゃん!」、ボクはすぐにネットで錯乱前戦の情報を探して、

早速YOUTUBEで動画を見るとこれが音源だけ聴く以上にカッコいい、

ボクはすぐにデモ音源を注文し、ハイコーフェスの出演者を決定する会議に持っていく、

メモ用紙の最後に錯乱前戦の名前を付け加えたのでした。

 

ところで皆さん、「あたらしい音楽」って一体なんなんでしょう?

耳の早い音楽好きが好んで聴いている音楽が「あたらしい音楽」でしょうか?

業界人が絶賛している話題のアーティストが「あたらしい音楽」なのでしょうか?

「今までにない感じ」、「何かと何かの融合」、「若者の間で大人気」、

それぞれの人にそれぞれの人の「あたらしい音楽」があるのでしょうが、

ボクも「あたらしい音楽」を探してたくさんCDを買ったり、

「あたらしい音楽」を探してYOUTUBEを漁ったり、

「あたらしい音楽」を探してインターネット徘徊したり、

ハイコーフェスに初出演する出演者を選ぶためにはそれなりの準備が必要で、

ボクは日常的に「ハイコーフェスのための音楽」を探し続けていました。

 

「音楽との出会い」なんて良く聞く言葉ですが、

ボクの場合は「無理矢理にでも探し出す」って言い方の方があっている感じで、

どこかで何かのタイミングで偶然耳にするって感じの出会いではなくて、

とにかく修行のようにたくさんCD購入して、ネットで視聴をして、YOUTUBEで探したりして、

自分なりの「あたらしい当たり」を引くまでその修行は果てしなく続きます。

 

「風邪」みたいなものなんでしょうね、

ここ何年も同じ病気を繰り返すようにハイコーフェスが終わってからのボクは、

音楽と向き合った分、その反動で「音楽と距離を取りたい病」になってしまって、

ハイコーフェスの出演者の音楽はもちろんのこと、

自分の中に「意味」を持たせる歌詞がある音楽を聴くことができなくなってしまって、

とにかく自分の中に「音楽が残る感覚」が耐えきれなくて息苦しくて、

聴き慣れた昔から聞いてる何を歌っているか分からない洋楽を聴いてみたり、

全然頭に歌詞の残らない耳障りのいい曲を聴いたり、

最終的には歌詞すらないインストの曲やオルゴールの音楽を聴いてみたりと、

自分の心とあまり関係のない音楽を薬に、少しづつ音楽との距離を元どおりにしようと頑張りました。

そうやって少しづつ少しづつ、消化して、整理して、ちゃんと想い出にしてあげて、

それでようやく年明けくらいから、「あたらしい音楽」に向き合う余裕を取り戻して、

この冬もボクは「たくさんのあたらしい音楽」の聴いたつもりでした。

 

毎年ここで紹介している事なので皆さんご存知でしょうが、

ハイコーフェスの出演者は4月の出演者選考会議で決まります。

ボクと近江さんと澁谷くんの3人だけの神聖な時間は、

今年はハイコーフェスの開催自体を決めるところから始まり、出演枠と出演者を決めていきました。

ボクはこの日の時点でもまだ、ハイコーフェスを続けるか答えを決めかねている状態で、

でも悩んでばかりいても時間ばかりが過ぎて、そのまま前に進めなくなって時間に負けてしまうので、

「まだ期待しないでね!仮にね!」なんて伏線をしっかり張りつつ、

「もし続けるならね、平井さん、斎藤キャメルさん、レテパ、プルタタ、大森靖子さん、

実貴子ズ、サニーサニーさん、トムボウイズ、KETTLESは今年も出演して欲しいと思ってる」って、

「あとどんな形でも良いからはなえもんを呼びたいな!」って、

「そうなると枠的には初出演は残り2枠になるんだけど!」って、

ハイコーフェス初登場、「初出演の2枠」を決めるため、

ボクは「今年選んで来たあたらしい音楽」を二人に紹介しました。

 

ボクはこの時、「これは多分決まりだな!」って気持ちで提案したバンドが1つありました。

この冬最も好んで聴いていた音楽だったし、

今一押し、「なんなら今年のテーマ曲はこれだよね!」って感じで猛烈プッシュで提案したつもりです。

「まあここも二人は好きなんじゃないの?」って、

「ここ攻めるセンスを評価してもらいたいな!」って、

そんなセコい戦術をしっかり立てた上で、二人の趣味嗜好なんかも計算しつつ、

今後グイッと売れそうな匂いも感じる、そんなあたらしいバンドも立て続けに3つ、4つと提案しました。

いつもならね、大抵はボクが一押しのアーティストは有無を言わさず当選していたし、

「恐らくこの面子のどれかで決まるだろう!」、ボクはそんな風に思って二人に提案したつもりでした。

 

ところがどうでしょう、「いいねー」とは言うものの、

「良いじゃん、良いじゃん」とは言うものの、

何となく二人の反応が沸点まで到達する感じには見えずでボクは拍子抜けしてしまいました。

なんとなくだけどね、ちゃんと二人も好きそうな感じをしっかり抑えつつ、

「この感じなら二人も間違いないだろう」ってところを攻めたつもりだったのに、

それがなんとも煮え切らない反応で、

「やっぱりオレのセンスが早すぎるのかなー?これがあたらしい音楽なのになー!」って、

ボクは少し二人の反応に落ち込んでしまいました。

 

長い時間かけて選りすぐりで選んで来たつもりの「あたらしい音楽」が二人の心を動かせないまま、

でもだからって、このまま二人に妥協してもらって出演者を選ぶんじゃあ、

ボクのちっぽけなプライドが許しませんよね。

ハイコーフェスの進藤くんなんてプライドだけでフラフラ立ってるようなものですからね、

「じゃあさー、このバンドさっき見つけたんだけど、このバンドどうよ?」、

それはメモ用紙に殴り書きされた本当に最後の1組でした。

ボクは二人についさっき見つけたばかりの錯乱前戦の「バカばっか」のYOUTUBEを見てもらったんです。

 

「バカだあーーーーーーーーーーーー!!!」、

部屋中にボーカルの山本さんの叫び声が響き渡ったその瞬間に、

二人が一斉に前のめりになったのがボクにはハッキリと分かりました。

 

ハイコーフェスのあたらしい出演者が決まる瞬間っていつもコレですよね。

こうじゃなきゃダメだし、こうなると話は早いんです。

澁谷くんは「ヤベー!ヤベー!」とまるでバケモノを見つけたように画面に釘付けでした。

近江さんは「んー、この王道のやつね!」とまるで少年のようなキラキラした表情で唸っていました。

2分足らずのその動画を見終わるまでもなく、

錯乱前戦がハイコーフェスに必要だと言う事が証明された瞬間でした。

他に情報なんか1つも必要ありませんでした。

今になって思えばね、あのタイミングで錯乱前戦を見つけてしまった事もハイコーフェスの「何か」な訳だし、

ボクがひと冬掛けて探し出した「あたらしい音楽との戦い」は見事に錯乱前戦の前に膝まづかされ、

「オーソドックスだけど一番あたらしいロックンロール」、

ボクらはたった2分足らずのその動画に全てを賭けてみたくなったのです。

 

錯乱前戦は今年、「あたらしい音楽」としてハイコーフェスに初出演します。

とは言え、錯乱前戦のロックンロールは「俗に言うあたらしい音楽」って訳ではありません。

確かにメンバー全員が19歳だし、今まさに青春真っ盛り、血気盛んな若者で、

そういう面から見たら20歳近くも歳の離れた若者が演っているめちゃめちゃあたらしい音楽なのですが、

言い方が悪いかも知れませんが演っている事と言えば、

昔からある「これぞ!ロックンロール!」って感じの音楽で、

「王道」で「分かりやすい」、そして何より「クソ度の高い」、

パソコンで如何様にも「あたらしい音楽」が作れるこの新時代に、

ボクらくらいの年齢の世代からしたら「馴染みのあるロックンロール」と言うか、

「あー、これこれ!これで良いんだよ!これをずっと待ってたの!」って感じのロックンロールで、

「時代」も「流れ」も「流行」も全部追い越して、

錯乱前戦は「堂々と古いロックンロール」をしている気がします。

 

この「堂々と」ってところが凄くポイントでカッコ良くて、

正直「今の時代にこんなバンドがまだあったのか!」とボクら世代が泣いて喜びそうな、

まさに「時代に逆行している教科書どおりのロックンロール」で、

やれオルタナだ、やれ残響系だ、やれシティポップだ、

やれEDMだ、やれラウド&ポップだ、やれシューゲイザーだ、と、

今ってめちゃめちゃロックのジャンルが細分化されてて、

正直ボクにはイマイチ明確な区別すら分かりません。

多分、超が付くほど音楽通の人以外はきっとそんな事どうでも良いんでしょうが、

でもそれって音楽を作る側の人にしてみたら結構めんどくさいことですよね。

きっと変に意識してしまうというか選択肢が無限に広がってしまう要因で、

参考書がたくさんありすぎるからこその「悩み」や「不安」と言うか、

「このやり方で本当に良いのかなー」みたいな、「これはこうじゃないとダメなんだ!」みたいな、

そんなの素人のボクが勝手に心配している事なのかも知れないけど、

なんて言うか、音楽を作る側に「迷い」を生み出している気がするんです。

情報があり過ぎて分からなくなるのはきっとどこの世界も同じですよね、

ガラパゴス化し過ぎてて信念すら揺らぐんです。

で、揺らいでしまった信念は行き場をなくしてしまいますよね、行き場がなくなれば閉塞感です。

で、そう言うのを微塵も感じさせないのが、むしろぶっ壊してるのが錯乱前戦のロックンロールで、

「これぞロックンロール!」ってヤツだけを教科書に、参考書無視なのが錯乱前戦のロックンロールで、

「速くて真っ直ぐで大きな声でクソ度が高いのがロックンロールでしょ!」って、

「これだけ演ってりゃ100点でしょ!」って、根拠のない自信を持ってそれだけを信じてる気がするんです。

さっきも書いたように如何様にも弄くり回せるこの新時代にですよ、

「でもこれが1番カッコいいじゃん!」って、

「だってこれしかやりたくないんだもん!」って、

「堂々と古いロックンロール」で天下を取ろうとしている姿勢がなんとも潔くないですか?

そんな気持ちこそロックンロールな気がしませんか?

実際、ライブハウスでの演奏経験がほとんどなかったにも関わらず、

あの大型フェス「SAMMER SONIC」への出演権を賭けて全国のバンドマンが3000組以上が参加する、

「出れんの!?サマソニ!?」って、あの有名なオーディションを見事に勝ち上がり、

去年見事にサマソニへの出演を果たしてしまうんだからめちゃくちゃですよね、

別に「あたらしい事」なんかしていないはずのに、間違いなく業界からも熱い視線を送られているんです。

 

前に毛皮のマリーズの志摩さんが「ブルーハーツはパンクの和訳だ!」って話してる番組を見た事があって、

パンクって外国から来ましたよね、元々は思想とか個人の自由とか既存の体制への反抗みたいなものを歌詞にして、

見た目に反して実はそんな感じの難しい事を歌うインテリの音楽だったらしいのですが、

で、なんとなく日本のパンクとかロックンロールって、

イメージ先行で昔から「不良」が好んで聴くイメージじゃないですか。

でも「不良」は大抵バカだから思想なんて本当は分からなくて、

結果「バカ」はサウンドとしてのパンクやロックンロールを聴きますよね、

思想なんか分からなくてもやっぱりパンクもロックンロールもノリノリですからね、

例えば別に意味なんか分からなくても「HEY!HO!LET’S!GO!」って叫んじゃいますよね、

「シェゲナベイベーナー!シェゲナベイベー!」しちゃったら楽しいですよね、

分かりやすく邦楽なら「君はファンキーモンキーベイべー!」って永ちゃんの真似しちゃいますよね、

「鏡の中のマリオネット!」って、「夜の街はサイレント!」って歌っちゃいますよね、

そこにもしかしたらすごい思想が込められていても、意味なんか無理に考えませんよね。

で、ブルーハーツが凄いのは、そこでバカを見捨てなかった事で、ノリノリだけで終わらせなかった事で、

「パンクをバカでも分かるくらいに噛み砕いてやさしく伝えてあげた事」で、

だからやっぱりブルーハーツは凄いんだ!って、革命だったんだ!って事を話していて、

今、錯乱前戦の紹介文を書きながら、なんか「その話」を思い出したんです。

錯乱前戦って絶対に手放してはいけない気持ちを歌っています。

それは歌詞に出てくる「愛、愛、愛、愛、愛してますから」もそうだし、

「頭が良過ぎるバカ、陰口を叩くバカ、全てを諦めているバカ」もそうだし、

「世界の真ん中なんてさ、ボクらの目の前に」もそうだし、

そう言うのをボクにでも分かるようにと大きな声で歌ってくれていて、

だからボクみたいな「正真正銘のバカの心」に真っ直ぐ響いてくるんです。

それってきっと分かりやすいからですよね、

分かりやすいからこそ、大事な事を歌っているって感覚的に理解しようとするんですよね、

それが例えどんなに速くても、下手くそでも、そんなことどうでも良くなる次元で迫ってくるんです。

これってめちゃめちゃパンクですよね、めちゃめちゃロックンロールですよね、

なんかね、ボクは嬉しかったんです、こんなバンドが今この時代にいてくれる事が、

ボクはもう「むずかしい歌」なんか聴きたくなかったんです、

「もう何も考えたくないよ、ロックンロール、ロックンロール、ボクを殺してくれ」ですからね。

 

「時代」とか「流行」ってきっと残酷で、9年続いたハイコーフェスはすでに古いイベントなのかも知れません。

ボクがどんなに抵抗してもボクの耳や感性はどんどん古くなっていってて、

ボクの好きな音楽なんてオシャレキッズや今の若者には響いてないのかも知れません。

事実、つい先日も音楽好きの20歳くらいの女の子とゴマシオで話している時に、

「クロマニヨンズの人ってブルーハーツの人だったんですね!」と衝撃の発言を耳にしてしまったり、

そもそも「ブルーハーツを知らない」と言う事態に腰が抜けそうになってしまったりで、

「JITTERIN’JINN?」、「ミッシェル?」、「ルースターズ?」、

「ラモーンズ?」、「ダムド?」、「ピストルズ?」って具合に、

どんなにあの日の青春のロックスターをエアギターを交えつつ歌付きで実演しても、

ブルーハーツも知らないくらいなんだから、これが全然分かってもらえるはずもなく、

「でもリンダリンダは知ってますよ!懐メロって感じですけど!(ニコリ❤️)」って、

「えー、誰もカラオケで歌いませんよー!(ニコリ❤️)」って、

「え、じゃあゴイステは?ゴイステはさすがに歌うでしょ?」ってボクに、

「んー、モンパチなら歌うんですけどね!(ニコリ❤️)」って衝撃の回答で、

「そこは同世代で良いやろ!」って強目に突っ込んでやりたい気持ちを抑えつつ、

もはやモンパチ以前の「ボクの青春のロックンロール」は、

少なからず誰かの中では「時代遅れのロックンロール」に分類されてしまっているようで、

「だって、こんなにあたらしい音楽がたくさんあるのに、わざわざ古い音楽を探して聴いたりしないですよ(ニコリ❤️)」って、

確かにおっしゃる通りですと思いつつ、「そんなバカな!ロックに古いも新しいもあるか!」ってね、

危うく「ロック説教おじさん」に変身してしまいそうな熱い気持ちをグッと堪えつつ、

その子のオススメのあたらしいロックンロールを教えてもらって聴いてみると、

これがやっぱりよく分からなくて、分かった事と言えば「確かにこの感じは今っぽいなー」って事で、

「めっちゃエモくないですか?」と言われても、そもそもボクには「エモい」が良く分からないし、

「でもさー、クソ度が全然足りないじゃん!足りないって言うか要素ないじゃん!」って心の声をグッと飲み込んで、

「ボクの好きなロックンロール」だけが「ロックンロール」じゃないって事はボクもしっかり理解しなければいけない事で、

この埋められないジェネレーションギャップは一体なんなんだろうと頭を抱えてしまいました。

でもね、「じゃあさー、この曲はどうなの?」って、早速ボクは錯乱前戦の曲をその子に聴いてもらいました。

決しておじさんが演っている訳ではなく、今の若者が今の時代にやっている、でも「おじさんの好きな時代遅れのロックンロール」です。

「エモくはないけどカッコいいですね!(ニコリ❤️)」、

長々自分語りばかり書いてしまいましたが、つまり何が言いたかったかといえば、それで全部オッケーだったって事で、

錯乱前戦のおかげでおじさんは救われたんです。

 

こんな風にボクが良い例ですが、「おじさん」ってのは若者がやる事をなかなか認めてくれませんよね、

「自分たちの時代が大好き」で「自分たちの思い出が何より大切」で、

それはロックンロールの世界もおんなじで、そんなおじさんをみなさんもたくさん見てきましたよね。

「ロックンロールって言ったらルースターズでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらブルーハーツでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらゴイステでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらミッシェルでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらブランキーでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったら清志郎でしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらチャックベリーでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらプレスリーでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらビートルズでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらラモーンズでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらツエッペリンでしょう!」って、

「ロックンロールって言ったらストーンズでしょう!」って、

まるで自分が全て正しいみたいに本当に本当にうんざりしちゃいますよね。

でもね、おじさんは「あたらしいロックンロール」が嫌いな訳じゃないんです、認めたくない訳じゃないんです。

「こんなのあのバンドの焼き回しじゃん!」とか言っちゃうのは、

「こんなのあの曲のパクリじゃん!」とか言っちゃうのも、

「なんかダセーんだよなー!」って、「なんかイタいんだよなー!」って言っちゃうのも、

それはロックを愛し過ぎたからの反動で、長い人生を懸けて「自分だけの本物」を確立してしまったからで、

でもそれって裏を返せば、本当にカッコいいと思ったら、「本物」だと感じてしまったら、

おじさんさんの「カッコいい」ほど信用できるものはないですよね。

ハイコーフェスの進藤くんって37歳のおじさんは錯乱前戦をカッコいいと思っています。

この「カッコいい」は自信を持っての「カッコいい」なので、なので皆さんにもこの「カッコいい」に気づいて欲しいのです。

 

錯乱前戦はカッコいいです。

バンドは見た目が全てと言い切れてしまうくらいに、

ステージに立った時の立ち姿だけで全てが決まってしまう気がするけど、

この若者五人組の堂々とした立ち姿だけですでにカッコいいです。

 

ボーカル山本さんはやさぐれた声がカッコいいです。

キレキレの動きがカッコいいし、端正な顔立ちと極端に細い体型が凄まじくカッコいいです。

そして何よりマイクの持ち方とマイクスタンドの使い方がカッコいい。

今風に言えば「ヒロトと峯田くんとルースターズ大江さんと松田優作のハイブリット」って具合にカッコ良くて、

普通はヒロトも峯田くんも大江さんも松田優作もスタイルが確立し過ぎていて、

真似したら真似したで普通は逆にカッコ悪いのに、

でもこの人は別で、そんな先人の残像が見え隠れしながらでもちゃんとカッコいい、

これはもうロックンロールバンドのボーカルをするためだけに生まれてきた人のカッコ良さです。

 

ギターの成田さんはカッティングがカッコいいです。

使っているギターのセンスからしてカッコいいし、

ギターの位置がジョンレノンくらい高くてカッコいいし、

ちゃんと初期のビートルズみたいにマッシュルームヘアーなのがカッコいいです。

熱くなると口をとんがらせて弾いちゃうところがカッコいいし、

ボーカリスト並みにとにかく前に前によく動く演奏スタイルもカッコいい。

そして何より裸から大き目に羽織っているジャケットの着こなしがおじさん心をくすぐるほどにカッコいい、

これはもうロックンロールバンドのギターをするためだけに生まれてきた人のカッコ良さです。

 

もう一人のギター森田さんはギターソロがカッコいいです。

ギターの位置がちょうど良い感じの低さでカッコいいし、

ギターソロの時に体勢を低くして膝の前でギターを弾く姿がカッコいいです。

そして何よりいつもツエッペリンのTシャツを着ているのがカッコいいし、

だって森田さんの格好良さは、まさにジミーペイジのソロ弾きのカッコ良さに共通しているから、

これはもうロックンロールバンドのギターソロをするためだけに生まれてきた人のカッコ良さです。

 

ベースの佐野さんはベースをギターみたいに弾いてるところがカッコいいです。

指ではじいて弾く感じじゃなくて、ジャンガジャンガ弾いちゃう感じがカッコいいし、

そして何よりこのご時世に読売ジャイアンツの帽子を被ってるところがカッコいいです。

だって「我が巨人軍は永遠に不滅です!」って、

「ハイコーフェスは永遠に不滅です!」ってハイコーフェスの名台詞と同じですからね、

これはもうロックンロールバンドのベースをするためだけに生まれてきた人のカッコ良さです。

 

ドラムのサディスティック天野さんは輪郭がパキッと立ったドラムの音がカッコいいです。

無駄(あえてね)に頭をブンブン振り乱して叩いてる感じがカッコいいし、

何より名前に「サディスティック」と付けちゃうところが愛おしいほどにカッコいいです。

だって「ドS」が快楽を味わいながらドラムを叩いてるんだからこれがカッコ悪い訳がないですよね、

そのくせ、メールをやり取りさせてもらった時の対応が、

全然サディスティックじゃなくてメチャメチャ良い人でそこもカッコいいです、

これはもうロックンロールバンドのドラムをするためだけに生まれてきた人のカッコ良さです。

 

ルースターズが好きなのはカッコ良かったからで、

ブルーハーツが好きなのはカッコ良かったからで、

ゴイステが好きなのもカッコ良かったからで、

ミッシェルも、清志郎も、ラモーンズも、ボクはただカッコいいから好きなんです。

歴史もあたらしいも何にも関係ありません。

「カッコいい」って事の全てをボクは「ロックンロール」と呼んでいた気がして、

ボクはどんどん歳をとって難しくなっていくばかりだけど、答えはシンプルにそれだけでした。

錯乱前戦が1番あたらしいロックンロールです。

 

「ロックンロールじゃ踊れないなんて言ってるお前に用はねえー!」

こんな素敵な五人組が同じバンドに揃ってしまった事が、

これは残念ながら「ロックンロール」としか言い様がない事態なんだから、

あの日バカにされた思い出も、君を悲しませた思い出も、気が狂うくらいに大変だった思い出も、自分が嫌で虚しかった思い出も、

どうせ最後のハイコーフェスなんだから、ハイコーフェスの嫌な思い出なんかすべて忘れて踊りましょうね。

恥ずかしがり屋でシャイなあなたも、イマイチ振り切れられないあなたも、若者も、おじさん、おばさんも、

最後くらい「バカ」な姿をボクに見せてくださいね、最後くらいあの会場を「バカばっか」で埋め尽くしてやりましょう。

全て忘れてみんなで踊れたなら、それも「ロックンロール」なんだから。

 

「エモい」とか「ハイブリッド」とか「シンガロング」とか、そんなのボクには分からないよ、

でもおじさんだってロックンロールになりたいし、おじさんだってパンクロックが好きなんです。

あの日、ブルーハーツが若き日のボクの気持ちを歌ってくれていたように、

錯乱前戦もまた、今のボクの気持ちを歌ってくれているような気がします。

「錯乱前戦に出会えてなかったあの日のボク」もどこかで一緒に踊ってくれてたら嬉しいな、

「あたらしい」も「古い」も自分が勝手に決めた事だったんだよ。

 

あの日の青春はもう二度と元には戻らないけど、今日の日のボクが1番あたらしいボクなんだ。

青春はいつもボクらの目の前にありますね。

いつだってそうだよ、「世界の真ん中なんてさ、ボクらの目の前に」

 

ボクと同じ時代を生きた永遠の不良少年少女たちに、

ボクより全然あたらしい今の時代を生きる永遠の不良少年少女たちに、

ハイコーフェスより愛を込めて、そんなロックンロールを贈ります。