ハイコーフェス9
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【ボクが大好きなキャンディキャンディについて】

今年もボクのハイコーフェスまでの宿題がスタートですね。

「だったら書くなよ!」って思うかも知れませんが、

正直言えば本当にめんどくせーって気持ちしかありません。

なんか去年から急に、この出演者紹介のコーナー自体が「ダサい」気がしてきて、

もう3週間以上も「今年こそ別に書かなくて良いんじゃないの?」って想って悩みました。

言葉で想いを武装して、あーでもないこーでもない書いて、

これが始まると毎週毎週たった1日の定休日が、こんなバカげた出演者紹介を書いて終わりで、

ボクには夏の思い出がもう何年もないんです。

もはやそんな夏が本当にボクのロックなのか気持ちが揺らいでしまって、

別に書かなくてもハイコーフェスは始まるし、

わざわざ言葉にしなくても1人で勝手に想っているだけでハイコーフェスは始まりますよね。

年々カンタンに想いを言葉に出来なくなってしまった事も、

ハイコーフェスを終わりにしようと思った1つの理由な気もしてて、

「ボクのロック」に自信がなくなっている気がしました。

 

それでも、こんなバカげたことを何年も続けていたことが、

ボクにとっては「最も重要なロック」だったと自分で信じてあげない限り、

「ボク」はいつまで経ってもきっと成仏できないですよね。

なので、最終回に「コレ」がないんじゃあ、

結局ハイコーフェスを初めた事を全部後悔してしまいそうなので、

つまりはこれが「ボクのハイコーフェス」だった訳だから、

やっぱりやらなきゃ終われないですよね、これがボクだけのオリジナルパンクロックな訳だから。

 

なので、別に誰のためでもなく誰に宛てるでもなく、ここからがボクのハイコーフェスの戦いです。

出演者の皆さんへの想いの丈を今年も1組づつ紹介させてくださいね。

そしてここを読んでくれた物好きな誰かが、

少しでも出演者の皆さんの事を「知ろう」と思ってくれたのなら、

届くはずのなかったあなたにボクの想いが届いてくれたら尚更嬉しくて、

ボクの「好きだ」って想い1つで急にハイコーフェスが有名になったりする訳ありません、

急にチケットが完売したりなんて到底無理な話で、

でもこの出演者紹介を書いてる間だけは、

「ボクも出演者の1人だ!」ってくらいの気持ちで書いていて、

これがボクがハイコーフェスのために出来るたった1つの「何か」なので、

ここから1組づつボクが最後のハイコーフェスの物語を作っていきます。

 

別に出演者紹介なんか読んでくれなくてもハイコーフェスは十分面白いですけどね、

でもここをちゃんと予習して当日来てくれたら実は100倍くらい面白くて、

なので、本当に長いですが、どうか今年も最後までお付き合いくださいね。

   

ではでは、お約束の「僕のレテパシーズ古宮くん」のモノマネでスタートしますね!

 「お待たせしました!ハイコー音楽出演者の紹介です!」

 

記念すべき出演者紹介1組目は初出場からこの人たちです!

「キャンディキャンディ 」の登場です!

 

 

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【ボクが大好きなキャンディキャンディについて】

 

キャンディキャンディの事は皆さんも良く知っているはずです。

「初登場!」なんて如何にもな感じで紹介していますが、

「僕のレテパシーズ」の元メンバーとしてハイコーファンの皆さんならご存知の、

はなえもんとユキコトーキョーがあたらしく始めたギターとピアノのオリジナルパンクバンドです。

 

もちろん歌も歌います。

レテパではロクにコーラスもしていなかった二人ですが、

そんな二人がメインで歌まで歌って演奏して、二人だけでちゃんとオリジナルパンクバンドです。

(札幌ナンバーの最後のユキコトーキョーのペシャンコってコーラスは絶品ですが)

ついこの間までキャンディキャンディの情報はネットに1つも無くて、

ホームページも無いし、youtubeも無いし、全ては謎に包まれたままでした。

(ついこの間、ハイコーフェスの告知に合わせてこっそりホームページができていました、youtubeで曲も聴けます)

何ならハイコーフェスのためにキャンディキャンディが動き始めたと言っても良いくらいで、

これはまさに、「ハイコーのハイコーによるハイコーのための音楽」です。

 

そんな謎のベールに包まれた誰も知らない無名中の無名のキャンディキャンディが、

どうしてハイコーフェスに出演する事になったかと言えば、

ボクがこの二人をどうしようもなく愛してるからって理由、それだけです。

LOVEともLIKEとも言い難い可笑しな感覚ですが、

でもこの二人の事がとにかく大好きなので、

もっとこう、名前だけでお客さんを呼べそうなバンドを選べば集客も楽なのに、

でも、わざわざ大事な出演枠を1つ空けてまで出演依頼を出した理由は本当にそれだけです。

 

ボクが去年でハイコーフェスを終わりに出来なかったのは、

もしかしたらそれははなえもんが好き過ぎるからって理由で、

もしかしたらユキコトーキョーをもう一度ハイコーのステージに立たせたかったからって理由で、

もちろん他の出演者の事だってちゃんと大好きだし、

自分のため、ハイコーフェスを愛する全ての皆さんのために、

こうして歯を食いしばって最後の1回を踏み切れた気もしますが、

この二人の愛は異常だったから、愛するがゆえの「ハイコーフェスの呪い」から解放してあげたい、

それがハイコーフェスを続けた1つの理由だった気もしています。

 

 

ちょっと想い出を書きますね、長いけど頑張って読んでくださいね、「ここ」が大事なところなんです。

 

ハイコーフェスに出演してくれた歴代の出演者の中でも、

「2016年の僕のレテパシーズ」、「ハイコーフェス7の僕のレテパシーズ」はちょっと特別な存在で、

ハイコーフェスの度に毎年毎年メンバーの入れ替わるレテパの想い出の中でも、

古宮くん、はなえもん、飯田さん、アディーさん、ユキコトーキョー、

あの時のあの5人の僕のレテパシーズには、何とも言い難い不思議な魅力があって、

あの日のレテパのライブが本当に良過ぎて、ハイコー史上に残る思い出のハイライトでした。

 

メンバーそれぞれが自らの命さえも燃え尽くすかの様に光り輝くあのステージは、

「あ、これ以上ないな」って本当にそんな感じで、

「あ、これハイコーフェスは終わるな」って本当にそんな感じの美しさで、

ボクはあの時「ハイコーフェスが終わる瞬間」を見たつもりでいたけど、

あれは「あのレテパ」が終わる瞬間でもあって、

ハイコーフェスの後すぐにユキコトーキョーがレテパ脱退を発表しました。

 

ボクはあの日のユキコトーキョーの事をよく覚えていて、

ステージの上で特別淋しい目を見せていたのがユキコトーキョーで、

特別眩しい笑顔を見せていたのもユキコトーキョーで、

アイデン&ティティ風に書けば、「ラストワルツのボブディラン」みたいに見えました。

散り際の花が1番綺麗な様に、あの日のユキコトーキョーは本当に儚くて綺麗でした。

 

バンドを続けるのも辞めるのもきっと本人にしか分からない事できっと理由はいろいろで、

でもボクは何でか「それ」が全部ボクのせいの様な気持ちになって、

「それ」が全部ハイコーフェスのせいの様な気持ちにもなって、

なので、なんて言うか、ずっと「それ」に「罪のようなもの」を感じてしまっていました。

 

去年のハイコーフェスは「ただのユキコ」としてお客さんとしてハイコーフェスに来てくれました。

ハイコー後、ユキコさんがハイコーフェスの事とレテパを脱退した事についてブログを書いてて、

このブログを読んだ時に少しだけ救われた気分だったので、

ちょっと長いかもだけど全文そのまま読んで欲しいので、ここで紹介させてくださいね。

 

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10/9は秋田ハイコーフェスへ行った。

廃校を使ったフェス。今年8回目。

わたしは4年連続で行ってる。

レテパのライブで3回、そして今年はお客さんとして。

 

いつもは9月の後半、秋分の日あたりに開催していたけれど、今年は10月。

二週間違うだけで、赤とんぼの群れはいなくなってた。

その代わり、カメムシが大量発生していた。

アディーはそれを踏んづけたらしい。

コスモスも終わりかけていた。

そしていつもより寒かった。

上下ヒートテック着た。今シーズン初。

 

行きはわたし一人で深夜バスで行った。

去年の行きがあまりにつらかったので同じルートを辿りたくなかった。

バンドをやめた私は、同じバンドワゴンには乗れない。乗るもんじゃない。

まだ忘れていない感覚があり、乗ってしまったらまだいろいろとつらくなるような気がした。

 

浜松町から田沢湖駅行きのバスに乗る。

三列シートの真ん中の一番前。

景色がいい!見晴らしがいい!やっほい!

横の席も一つづつカーテンで仕切れるようになってる。

乗務員はおじさん二人。

出発してまもなく

「えー、みなさま、おばんです」

え、もう東北弁!もう秋田!

早々と旅情に浸る。

たまにおじさん同士が話す言葉も鈍っていたので、秋田の方の方なのだろう。

アトラクション感覚でバスに乗っていたけれど

わりとすぐ、前のカーテンを閉められてしまった。

そして消灯。

わたし、閉所で外見えないの、苦手かも、と思った。

さっきまでのテンションは急降下、うまい足の位置を探してあれやこれや

なんとなく半分覚醒した状態のまま、秋田に着く。

 

田沢湖駅の周辺は、霧が凄かった。

一寸先は真白だった。

駅に到着。

ここから地元の路線バスに乗って、廃校の最寄りのバス停まで行くつもりだった。

とりあえずみんなに会う前に化粧をせねば、と

人のいない駅のベンチで化粧水をシュッとしていたら、突然声をかけられてビクッとする。

アディーだった。

「おはよう」とのこと。

「おはよう」と返す。

「なんでここにいるの?」と聞いたら

宿から廃校行きの送迎バスが駅に寄ったから、らしい。

そのバスにわたしを乗っけてってくれるらしい。

それはラッキー

突然拾われてビックリ&ノーメイクでうろたえつつ、仲間に会えて少し安堵。

バスにはサニーサニーガールやトムボーイズも乗ってた。

しかし、よく私のこと発見できたね。

いや、後ろ姿がゆきちゃんぽいなーって。

まだ猫背なのかな?気をつけよう。

 

思い出の潟分校に到着。

また来られてうれしかった。

主催の進藤一家はじめ首謀者一味に挨拶したいが、めちゃめちゃ忙しいだろうな。

またあとでゆっくりしよう。

 

サニーサニーガール、良いライブだった。

廃校で聴けるの、うれしい。

馴染みの人と遠い地で会うとうれしい、あの感覚と似てるうれしさ。

トムボーイズも観ててたのしかったし

鈴木実貴子ズはいつ観ても泣けてくる。

姿勢が正されるかんじ。

 

給食のカレーを食べたあと、田沢湖まで散歩。

つやつや光る赤い実が成ってて美味しそうだったので、食べてみる。

とりあえずすっぱいんだろうなとは予想してた。

案の定すっぱかった。

そしてにがかった。

しかもそのあとくさかった。

本当にくさかった。

お便所の匂いだった。

すっぱい、しぶい、くらいまでは予想できたから耐えられたけれど、くさいのは予想してなかった。

びっくりした。

なんで植物なのに動物のにおいがするんだろ。

ごめんなさい、と言って木の根元に戻した。

指先が真っ赤に染まり、くさくなった。

 

大森靖子さんが歌ってる時の、校舎に誰もいなくなるかんじが好き。

みんな体育館に集まるから。

わたしも観たかったけど出遅れて、体育館ぱんぱんで、簡単にあきらめた。

誰もいない教室で、木の匂いと、鳥の声と、遠くから聞こえてくる大森さんの歌を聴いてるのが好き。

 

平井さん。

平井正也バンドに私を入れようという話が出たらしいが「アディーに阻止された」と平井さんが言っていた。

レテパ辞めて時間経ってないから、という理由らしいけど詳しくはわからない。

「まぁなんとなくわかる気がします」とかなんとか訳知り顔なセリフを吐いてみた。

 

アナトオルフランス。

モテギスミス氏がやってるバンド。

モテギ氏はわたしがライブしてるのを何度も観てくれる人だけど

わたしはモテギ氏のライブを観るのは初めてだった。

思ってたより全然カッコよかった。

そして音楽的素養もちゃんとある人だなと感じた。

 

僕のレテパシーズ。

わたしは怖かった。

「こわいから一緒に観てもいい?」と、もみじちゃんの隣へ行った。

 

レテパは毎年なぜかトリで、自分のライブが終わるまでは気が気ではなかった。

ハイコーフェスで、レテパは毎回失敗できなかった。

進藤さんたちの気持ちと情熱と覚悟を知ってるから。

ハイコーフェスはぬるくない。

めちゃめちゃ熱い。

磨耗してく。

次があるかなんて、全く予想できない。

ギリギリの、ナイフみたい。

鋭利過ぎて、逆に優しい。

そんなハイコーで失敗したら、その後少なくとも一年は苦しむことになるのを知ってる。

恩に報いることができなかったことを、悔やむことになる。

だから誰もがピリピリしてたし、だから余計に去年あたりはつらかったのだろう。

 

わたしが辞めたことによりレテパがダメになってしまうことは、わたしが許したくなかった。

レテパはひろしの言葉を届けるべきバンドだと思ってたし、それはみんな同じ認識だった。

音の塊を客席にぶつけるようながむしゃらな音じゃひろしの歌は届かない。

何かを抜かないと、届かない。

わたしにとってその何かは自分だった。

辞めた理由の半分はそれ。

あとの半分は、つらかったから逃げたってだけ。

結局わたしはルーザー

 

最近ずっとライブうまくいってなかったみたいだったけど、今年のハイコーでのレテパは優しかった。

ひろしの声は強くしなやかになった。

歌やメロディがしっかり聞こえた。

松葉杖のはなえもんは座っていたけれど、たまに立ち上がったり、床に寝転んだりしていた。

7月のライブで負傷した脚。

飯田くんは相変わらず暴れてたし

アディーはアディーだった。

客席から見てて、レテパがお客さんに受け入れられてる感じがした。

最後にはなえがアディーに抱えられながら立ち去る時

「オレたちがレテパシーズだ!」って叫んでた気がした。

レテパはやった。

 

終わってから進藤さんに

「ゆきこさんが出てくるのをちょっとだけ期待してました」

と言われた。

4人のライブがよかったから言える台詞だろう。

私が初めてレテパで弾いたのは、正式加入前の2014年9月、ハイコーフェスでだった。

ギターはタカユキカトー氏が弾いてた頃。

秋田の人々はとても喜んでくれた。

うれしかった。

2015年のハイコーの帰りに寺中さんが辞めて

2016年は行きに私とひろしが大げんかしたけれどやってやった。

今のレテパは、今年のハイコーフェスを4人でやり遂げなければいけなかった。

そしてやった。

進藤さんが4人のレテパを「よかった!」って言ってくれたから、私は救われた。

 

今年はいつもカメラ回してくれる長谷川大ちゃんがいなかったから少し寂しかったけど、いつもよりあっというまに感じた。

演奏しなかったから、無責任だったからかな。

夜、さんちゃんとオセロした。

62:2で勝った。

まだまだ修行が足りんな。

さんちゃん、来年はもう中学生。

 

また会えるかな。

またハイコーに来れるかな。

わからないな。

進藤さんたち、オーバーヒートするギリギリのところでやっているだろうから、どうなるかわからないな。

だけど会えてよかった。

ほんとうにそう思う。

 

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何を言いたい訳でもなくて、これが「キャンディキャンディのユキコエンジェル」って人とのカンタンな想い出の紹介になります。

(キャンディキャンディではユキコトーキョーからユキコエンジェルに改名しています) 

 

 

んでね、「2017年の僕のレテパシーズ」、「ハイコーフェス8の僕のレテパシーズ」もちょっと特別な存在でした。

ユキコトーキョーの代わりにキーボードを入れる事なく、

古宮くん、はなえもん、飯田さん、アディーさん、の4人の僕のレテパシーズで、

その日のレテパも本当に良過ぎて、ハイコー史上に輝く思い出のハイライトになりました。

ユキコさんのブログで書いてたように、

膝の手術をしたばかりで松葉杖を無しでは歩けないはなえもんが、

涙で目を滲ませながら時折何度も椅子から立ち上がってギターを弾く姿はハイコーフェスへの愛そのもので、

最後の曲が終わった後にアディーさんの肩を借りながら二人で歩く姿は死闘を讃え合う仲間そのもので、

足を引きづりながら、汗を涙と鼻水でグチャグチャになりながら、

あの時はなえもんは「オレたちがレテパシーズだ!」って大声で叫んでくれて、

だから勝手に「ずっと続くものだと」勝手にボクは思っていたけど、

ボクはあの日も「ハイコーフェスが終わる瞬間」を見たつもりでいたけど、

あれは「そのレテパ」が終わる瞬間でもあって、

ハイコーフェスの後すぐにはなえもんがレテパ脱退を発表しました。

はなえもんは特に理由も何も発表しなかったけど、

のちにはなえもん脱退についてメンバーのアディーさんがブログに書いていて、

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10月9日に出演したハイコーフェスが結果的には最後のライブとなりましたが、

ケガをしてからでもレテパシーズに入ってからでもなく、

今まで生きてきた時間と生命を全て燃やしてはなえもんはロックンロールした、とわたしは感じています。

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バンドを続けるのも辞めるのも理由はいろいろだと思うけど、

でもボクは何でか「それ」が全部ボクのせいの様な気持ちにもなって、

「それ」が全部ハイコーフェスのせいの様な気持ちにもなって、

なので、なんて言うか、ずっと「それ」に「罪のようなもの」を抱えてしまっていました。

 

その後、ドラムのアディーさんもレテパの脱退を発表して、

なんていうか、ボクのロックが1つ死んでしまった様な気分で、ハイコーフェスもそのまま一緒に死んでしまった気分でした。

「燃え殻を燃え尽くしてやる!」って超意気込んで全てを燃え尽くしたハイコーフェス8だったので、

余計に「もう終わりでいいな」って本当にそんな気分で、

「ハイコーフェスはもうおしまい」、

そんな気持ちのまま、ハイコーフェスの事もワザと考えない様にして、ボクはひと冬を過ごしました。

秋田の冬は長く厳しいので、みんな春がくるのを楽しみにしていましたが、

春になったらハイコーフェスをどうするかちゃんと決めなきゃいけないから、

ボクは春になるのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。

除雪して生活して、ずっとこのまま春が来なきゃいいのにって思っていました。

「もう何も考えたくないよ、ロックンロール、ロックンロール、ボクを殺してくれ」って、

はなえもんに教えてもらった、まるでボクのための様なあの言葉が、何度も何度も頭の中を駆け回り続けてました。

 

3月の終わりにボクら家族は三人でディズニーシーに行きました。

さんちゃんの卒業旅行なんて名目で、さんちゃんの行きたいところに行こうという事で、

我が家にしては珍しく贅沢して、ちょっと遠出しての2泊3日の家族旅行でした。

「こっちに来ることがあれば連絡してください!」って言葉に甘えさせてもらって、

その日、ボクらは、はなえもんのご実家に泊めてもらいました。

その日は奇しくも「アリアナグランテ」って世界的な歌姫の日本公演ツアーだったらしく、

チケットをすでに取っていたはなえもんは、本当は最後までアリアナグランテを見たかったはずなのに、

アリアナグランテを途中で引き上げてまでボクらを最寄り駅まで迎えに来てくれました。

あの日のはなえもんは、レテパを辞めた「ただのはなえもん」だったけど、

さんちゃんが未だに「はなえもん家サイコーだったわ!」って言うくらいで、

ボクもこーちゃんもさんちゃんも「ただのはなえもん」がとても好きだなーと思いました。

「ただのはなえもん」はボクたちに手作りの夕飯を食べさせてくれました。

世界一美味しいエビチリと春巻きとナムルサラダとスープとご飯をご馳走してくれました。

腹ペコのボクらが夢中で食べる姿を見て、「嬉しいなー」と喜んでくれました。

ご飯を食べた後にたくさん話もしました。

ハイコーフェスの時はあまりに忙しいのでなかなかゆっくり話したり出来ないので、

歴代のハイコーフェスの卒業写真集を見ながら初めてゆっくり話せました。

はなえもんはいつもボクたちのこともハイコーフェスのことも褒めてくれて、

はなえもんに褒めてもらう度にハイコーフェスが「良いこと」の様な気分になれました。

 

あの日、はなえもんは最近新しくバンドを始めた事を教えてくれました。

「はなえもん、もうすぐしたらハイコーフェス続けるか終わるか決めなきゃいけないんだ。」

「もし続いたらさあ、はなえもん、ハイコーフェス出てくれる?」、そんな事を口にしました。

その時のはなえもんの答えは「もう芸がないよ」でした。

「出る!」でも「出ない!」でもなく、「なんか進藤さん、やりそうだなー」って笑いながら、

でもどこか目の奥が物悲しそうにも見えて、もうこれ以上ハイコーフェスの話はしちゃいけない気がしました。

本当は、はなえもんに会えば、ハイコーフェスを続ける気持ちになれるんじゃないかと少し期待していたけど、

あの時のはなえもんの顔を見たら、やっぱりハイコーフェスを続けたらいけない気がしました。

 

翌日は朝一番でディズニーシーに行くので朝6時に起きてボクたちはお別れしました。

ボクらのためにと、はなえもんはお弁当を3つも作ってくれていました。

梅干しと鮭と昆布とオカカと小魚の佃煮が入ったロックなおにぎりに卵焼きとウインナー、

聞けば朝4時に起きて、お母さんと一緒に作ってくれたそうで、

駅まで送ってくれたはなえもんはボクらが見えなくなるまでずっと手を振ってくれました。

あんまり名残惜しそうにずっとずっと手を振ってくれるから、

はなえもんとはもう二度と会えない気がしてしまいました。

「これはきっと本当にさよならなんだな」って、

銀河鉄道999の鉄朗の気持ちで、千葉のメーテルに何度も何度も手を振り返しました。

 

4月になってすぐに、ボクはなんでか分からないけど、ハイコーフェスを続ける事にしました。

「理由がない」と言えばウソになるかも知れないけど、特に「コレ」って決め手があった訳じゃなくて、

もしかしたらただもう1度あの場所で、はなえもんに会いたかったからなのかも知れません。

銀河鉄道999はあの時確かに出発したはずなのに、ボクはまんまと乗り遅れてしまっていて、

もう少しだけはなえもんと一緒にいたかったんだと思います。

メーテルは大人になった鉄朗と永遠の別れを交わしましたが、ボクはまだ大人になれなくて、

「芸なんかしなくて良いから、はなえもんはステージに立ってるだけで良いから!だからハイコーフェスに出てください!」

来ない返事を待つ事もなく、はなえもんはすぐに「ユキ姉と一緒に出ます!」と返事を返してくれました。

あんなに悲しそうな顔をしてハイコーフェスの事を思い出していたはずなのに、

あたらしいバンドも初めていたはずだけど、ソロでの出演でも良いよとメールにも書いたのに、

「ユキ姉とキャンディキャンディで出演したい」と返事をくれました。

ボクは「それ」が1番望んでいた答えだったので、もうそれだけでハイコーフェスを続けた意味が出来ました。

 

これが「キャンディキャンディのはなえエンジェル」って人とのカンタンな想い出の紹介になります。

(キャンディキャンディではユキコトーキョーからユキコエンジェルに改名しています) 

 

 

自分でもビックリですが、こんなに長々書いていますが、全く出演者紹介していませんね。

ただの想い出の殴り書きです。

でも「ハイコーフェスのキャンディキャンディ」に関しては、

「どんなバンドか?」とか「ジャンルは?」とか、もうそんな難しい事は全然関係なくて、

ボクがここに書いた想い出を知ってくれた上でライブを見てもらえたら、

恐らく今年の出演者の中で間違いなくNo.1の愛を皆さんに届けてくれる気がしてて、

どれほどの想いで、どれほどの愛で、もう一度ハイコーフェスのステージに立つのか、

それだけ知ってもらえたら、ボクを支えてくれた大事な想い出を書き殴った甲斐もあるってもので、

残念ながらこの予習をサボってしまった人は、あの素晴らしい愛に気付かないかも知れませんね。

とは言え、これだけだと「だからどうした!」って感じですよね、

 「少しくらいどんな音楽やるのか説明しろよ!」って感じですよね、すみません(テヘペロ!)

曲の雰囲気だけ相変わらず抽象的に説明すると、(だから抽象的はやめろ!って怒らないでね、テヘペロ)

「80年代、90年代初期の少女漫画の世界観をぶち撒けたような音楽」で、

「チャックベリーがアイドル歌謡に手を出しちゃったような音楽」で、

もしかしたらYouTubeで音源だけ聴いたら、

別に決して「今どきの音の上手いバンド」って感じではないかも知れません。

 

そもそもエレキギターと電子ピアノの組み合わせですからね、

あんまりそう言うのが分からないボクにでも分かるくらいに、

やっぱりどうしてもバンドとしての音数とか音圧とかそういうのは足りずで、

「ロックのバケモノ」みたいだった僕のレテパシーズ時代の残像と比べてしまうと、

音だけ聴いた感じでは隙間が多く物足りなさを感じてしまうかも知れません。

でも、はなえもんが去年のクリスマスに送って来てくれたデモカセットテープをボクはこの冬何度も何度も聴き続けて、

あの二人のシャウトが響き渡れば「上手いかどうか」なんてちっとも関係ない気がしました。

断言出来るのはキャンディキャンディ は「生」でこそのバンドだという事で、

そう、まさにセックスと同じで、生でなくてはあの温かさや激しさが分からないバンドなのです!

 

はなえもんはカリスマです、それも絶対的なカリスマで、ギターヒーローです。

ちょっとオーラが違うと言うか、センスがズバ抜けていると言うか、

世に溢れるロックンロールなんて本当は、

全てがはなえもんから発信されてるんじゃないかってくらいに先を走ってる様な感覚で、

なので最悪は別にギターなんか弾いてなくても存在そのものだけで昇天してしまうくらいにロックなのがはなえもんで、

ギターウルフのセイジさんみたいな、夙川ボーイズのマーヤさんみたいな、

訳の分からない「ロックの説得力」みたいなのが目に見えるのがはなえもんの凄いところで、

そこに重なるユキコエンジェルのクラシック仕込みのピアノもポイントです。

レテパの時もそうなんだけど、ユキコエンジェルのクラシック要素は実は隠れた肝で、

これが実にロマティックで、繊細で、美しくて、時々幼くて、

なんて言えばいいか、会場をやさしく包み込み母性みたいなのも感じて、

「パンクロックの荒々しくてナンボ」って世界に、ある種の革命を起こしている気がします。

「儚いけど強い」みたいな、「怖いけどやさしい」みたいな、「汚れてるけど美しい」みたいな、

きっとそういうのをハイコーフェスでは「愛」って呼ぶんだけど、

「ロック」って呼ぶんだけど、愛とかロックを言葉で伝えるにはどう説明したら良いんだろう?

言葉では言い伝え難い「何か」がキャンディキャンディの音楽には確かにあるんです。

 

ボクはハイコーフェスのステージに限ってだけ言えば、

実は「上手い出演者」っていうのがあのステージには1番似合わない気がしてて、

もちろん演奏も歌もステージングも「上手い」に越した事はないし、

むしろ音楽なんだから「上手い」方が聞いてて気持ちいいし、スゲーっし、サイコーですが、

でも、ハイコーフェスって「上手い」だけだと実は全然ウケてなくて、ボクなんか心が1つも動きません。

「上手い」ってフィルターが「愛」の生々しさを包み隠してしまうのか、

全然心の底の方に伝わってこない時があって、なんでか分からないけど想い出に残りません。

過去に出演者の皆さんから「ハイコーのステージには魔物がいる」なんて言われた事がありますが、

「魔物を味方に付けられるか敵に回すか毎回怖い」なんて言われた事がありますが、

「ハイコーフェスの魔物」なんて実は超カンタンに攻略できて、

正真正銘の愛さえ見せてくれたら1000パーセントで味方なんです。

なので、はなえもんのシャウトには、ユキコエンジェルの母性には、

「魔物すら愛し切る何か」が宿っているとボクは確信していて、

だからキャンディキャンディはハイコーフェスの魔物に愛し愛されているので、

1000%大丈夫なので、1000%面白いので、期待してもらって大丈夫です。

今年の夏の終わりに限っては、キャンディキャンディが「ハイコーフェスの魔物」な気もしてて、

「ハイコーフェスの魔物」が愛してくれる最後のハイコーフェスなんだから間違いなく今年も奇跡の連続ですよ。

 

 

この人たちの今年のハイコーフェスへの想いは、もはや決死の覚悟です。

よくミュージシャンが「このままステージで死んでも良いって気持ちで歌ってる」って言いますが、

この人たちは「死んでも良いって気持ち」くらいじゃなくて、

片道分の燃料だけ積んで「このままステージで死にます」ってくらいの覚悟で来てくれます。

キャンディキャンディのホームページがこの間ついに更新されてて、

そこにはなえもんがハイコーフェスへの素敵なラブレターを書いてくれていたので載せますね、

ここに「覚悟」が見えたんです。

 

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わーい!みんな!ハイコーフェスに行こう!

人類全員出席よろしく!

秋田のスゴイやつらが自力で作りあげた、手作りの、生生しい、オリジナルロックフェスだよ!

なんだかさまにならない鏡を見るたびに憂鬱なルックス、勉強アレルギー、低収入、クズ

この人生どう生きていけば正解なんだ神さま

何で生まれてきたんだ?

最悪だよ

たまには死にたくだってなるぜ

充分泣いたら、また明日からがんばるよ

笑うぜ!!

それしかどうしようもないんだもーん!

 

彼らはオリジナルパンクロック

彼らのエネルギー

大きな優しさ

強さ

心の底からすごいと思う!

きっとあいはこんなんだ!

不完全な、未熟な私を

うけとめてくれた

嬉しかった

 

あいどんわなだい

あいわなだい

繰り返す

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「あいどんわなだい」はもちろん銀杏boysのだけど、

はなえもんの「あいどんわなだい」は「死にたくない」ですよね、「ロックは死なねえ」ですよね、

「あいわなだい」は反対に「死にたい」ですよね、「ロックは死んだ」ですよね、

これ読んだらね、ハイコーフェスでキャンディキャンディを見るしかないですよね、コレが愛です。

これでもね、まだキャンディキャンディを愛せないって人がいたら、もうあんた人間じゃねーからな!

 

冒頭で長々紹介したとおりで、この人たちはすでに1回死んでいます。

ボクのために、ハイコーフェスのために、バンドを脱退するくらいに燃え尽きて、

ハイコーフェスの呪いに掛かって、それで1回死んでいます。

死んでしまったんだから、本当ならもう二度とハイコーフェスのステージに上がる事もなかったはずです。

ボクはハイコーフェスを8回経験して分かった事があります。

ハイコーフェスに限って言えば、「良い音楽」が「良いバンド」が必ずしも「想い出に残る」とは限らなくて、

「有名なミュージシャン」が「売れてる人」が必ずしも「想い出に残る」とも限らなくて、

「ハイコーフェスの得体の知れない何か」をちゃんと受け止めてくれて抱きしめてくれて分かろうとしてくれて、

そういうのを全部ステージの上から「愛」としてこちらに返してくれようとしてくれた人が、

その日ハイコーフェスのためだけに「音楽」として、「ロック」としてちゃんと届けてくれようとしてくれた人が、

ずっとハイコーに生き残っている気がするんです。

なのにこの人たちは、ハイコーフェスを誰よりも愛するが故に一度は自ら命を絶ったはずなのに、

「それでもオレは行く」って、「死にたくない」って、今年こうしてハイコーフェスに帰ってきました。

もうすでに1回死んだはずなのにです。

「どんなに深い悲しみもいつかはのりこえられるものだよ」って、

これはアニメキャンディキャンディの中の名台詞ですが、

「乗り越える」と「忘れられる」では全然意味が違って、

ボクらのキャンディキャンディもハイコーフェスの思い出を乗り越えに来たんです。

1回死んだらゾンビですよね、1回死んだゾンビはもう二度と死にませんよね、無敵です。

無敵だから死ぬ事を恐れていません、死んでも死んでも繰り返すんです、

はなえもんが今年のハイコーフェスのイラストに「ロックは死なねえ!!」と書いてくれてますが、

そう言うのがきっと、「ロックンロール」って事だと思うんです、

だから、なので、「キャンディキャンディの音楽ってどんな感じなの?」って聞かれたら、

「もうこれ以上ない、君とボクのオリジナルパンクロックだよ!」ってボクは紹介したいと思います。

 

 

 アニメのキャンディキャンディの最終回ラストシーンは、

酷い仕打ちにあって、まわり道して、辛い思いを、悲しい思いをしたキャンディに、

「おチビちゃん、笑ってごらん。君には涙は似合わないよ」って丘の上の王子様からの例の台詞が有名ですが、

(まさに笑って笑って笑ってキャンディーですよね)

きっとボクらのキャンディも最後まで笑って終わってくれるはずなので、

愛は地球を救うか分からないし、笑っていれたら幸せかなんて分からないけど、

キャンディキャンディの愛はきっと音楽を超えるし、

キャンディキャンディの笑顔をきっとロックを超えます。

そんなバンド見た事ないでしょ?

そんなバンド信じれれないですよね?

だからこそ、見た事ない人は、信じられない人は、ちゃんと見にきてくださいね。

たった30分のステージ、そう昔みんなが見たアニメ「キャンディキャンディ」と同じ時間だけで良いんですから。

 

 

 

最後にここまで読んでくれた愛ある皆さんだけに「おまけのコーナー」です!

はなえもんがボクに送ってくれた手紙に書かれていた3コマ漫画を特別に大公開!

これが読めるんだからここまで読んだ甲斐がありましたね!やったね!

 

 

 

「オレの前髪長すぎるやろ!」ってところが面白いポイントです!

 

あっ、そうだ!はなえもんがそう言えば前に、

「今年はアメリカのロックスターみたいな、USな感じで演ります!」って言ってたので期待して下さいね、

火を吐く可能性もあるし、宙吊りになる可能性もあります!

 

 

卒業証書 キャンディキャンディ殿

ロックで1番大切な事が何なのか?

そんなカンタンな事に気付かせてくれてありがとうございます。

そんなカンタンな事なんか、ボクが子供の時にちゃんと気づいておくべきだったたのかも知れませんね。

そう「それ」は、昔見たキャンディキャンディの世界にちゃんと描かれていたんだから。

9年間、ボクが誰かに届けたかった「得体の知れない何か」は、

きっと「キャンディキャンディ」だった気がします。

愛をありがとう、ロックをありがとう、1ミリを残さず全部受け止めます。

あいどんわなだい

あいわなだい

繰り返す